こんにちは。折々の時折のたけです。
前回は概略編として、1年間の振り返りの全体感を書きました。それに続いて、今回は、この1年間で生活面でどのようなことがあったかを振り返ります。
前回の記事はこちら:
【田舎暮らし】移住して1年たちましたので、振り返ります:Agenda&概略編【島暮らし】
これは、あくまで私の住んでいる天草地方のケースではありますが、田舎暮らしの移住を考えている方に少しでも参考になればと思っています。
生活編:目次
- 生活インフラの都市生活との違い
- 1日の時間の使い方がかわりました
- 「何を食べよう?」から、「どうやって食べよう?」へ
- 自動車生活で距離感覚が変わる
- 選択肢がないもの
- 田舎で手に入らないものはAmazonが便利
- まとめ
生活インフラの都市生活との違い
まずは、天草地方に移住したときに大きくかわるのが、生活インフラでした。
もちろん、電気・ガス・水道などの公共サービスはあります。ありますが、選べるわけではないので、それなりに特徴はありました。
生活インフラに関する様々な違いは次のようになってました。
インフラ | 都市生活 | 田舎暮らし | 備考 |
ガス | 都市ガス | プロパンガス | 都市ガスとは器具が別 |
水道料金 | 1,500円/月 | 3,500円/月 | 日本で有数の水道料金の高さ |
インターネット回線の選択肢 | 複数から選択可能 | Flet’s光の一択 | |
地上波デジタル受信 | 制限なし | 山の上に共同アンテナ | 山間のため、個人宅では受信不可 ケーブルTVという選択肢も有 |
公共交通機関 | 電車 | バス | バスは1〜2時間に一本 |
最寄り駅までの距離 | 徒歩圏内 | 車で20km | ローカル線駅(直通バス無し) |
県庁所在地まで | 20〜30分 | 2時間 | バスで移動 |
買い物 | 徒歩圏内 | 車移動 |
結果として、慣れてしまえば生活するには十分でした。選択肢がないだけで、それなりのサービスはうけれます。
あえていえば、水道料金がバカ高いです。これは、他の離れた自治体から上水道を長距離ひいていることから値段が高くなるというこの地域特有の理由です。もったいないので畑作業などをするための水は井戸水を使っています。
1日の時間の使い方がかわりました
移住後に身についた習慣で最も変わったなと思うことは、1日の時間の使い方です。
田舎って、日が暮れると真っ暗なんです。しかも、飲食店もお客さんがいない平日なんかは早くしまってしまいます。なので、夜は外でやることがないのです。
さらに畑仕事をしていると、陽のあたる明るい時間を如何に有効活用するか?という思考が働きますので、よほどの理由がない限り、夜更かしすることで早起きできなかったときに、お日様が出ている時間がもったいなく感じるようになりました。いまでは毎朝4時くらいには起きています。
実際には、車で20分以内にお酒を提供しているお店は何軒かあり夜も22時くらいまでは開いていますし、また、コンビニなどもあるのです。
それに加え、田舎は車社会なので運転代行サービスを使う必要がでてきます。月に一度くらいは、代行サービスを使うことを前提にお酒を飲みにでています。
ただ、都市生活のときのような夜の街へのアクセスの気楽さというのは感じなくなってます。
「何を食べよう?」から、「どうやって食べよう?」へ
ということで、通常時はほとんど外食せずに自炊しているのですが、元来、料理するのが好きだったこともあり、自炊生活自体には違和感はありませんでした。
そしてここでは、1年を通して田舎で自炊していると、食に対するスタンスが大きく変わりました。
東京にいた時は、まず食べたい料理を考えて食材を揃えて調理していました。田舎暮らしを1年した今は、いまある旬の新鮮な食材をどうやって食べようか?とメニューを後回しで食材ありきでの食生活に変わったのです。
その理由として、一つ目は野菜の調達事情です。
一般的に田舎暮らしのイメージとしてよく言われる「野菜が新鮮で安い!」というのはたしかにその通りなのですが、正確には「(路地栽培可能な旬の)野菜が新鮮で安い!」というのが今の理解です。
例えば、春キャベツなんかは2週間程度で道の駅の品揃えから消えてしまいます。他の野菜は、大体は2〜3週間で品揃えから消えていきます。
東京にいるときは、一種類の野菜は2ヶ月以上は店にならんで購入でき、メインどころの人気野菜は一年を通して手にはいるのですが、それは収穫時期の違う別の地域から順繰りに流通させているものが東京の店頭に並ぶためです。
いま住んでいるところでも、買おうと思うと地元産ではなく広域に流通している野菜もスーパーでは扱っているので、大体のものは手に入るのですが、そこには中央から地方まで流通のための費用が上乗せされるため、お値段は少々お高めになってしまいます。
自分の場合は旬の野菜を食べれればそれでよいと思っているので、そのときそのときに道の駅や近所の野菜販売所などで手に入るものを入手するようにしています。また、地元の採れたて野菜を食べてしまうと、どうしても遠くから流通してくる野菜よりも地元産の採れたてを選んでしまいます。
また、ご近所さんから旬の野菜をいただくことが多くあり、いつも手元に野菜があるという状態です。
二つ目の理由は、趣味で釣りをしていることから、ちょくちょく、新鮮な魚が手にはいるようになったことです。
釣りに関しては別の回で詳しく書こうと思いますが、多彩な魚種が手にはいるのです。この1年間を振り返ってざっと浮かぶだけでも、アオリイカ、コウイカ、キス、アジ、マダイ、キジハタ、カンパチ、ブリ、ヒラメ、マゴチ等々、色々釣れました。
で、基本的に、外道も含めて、食べれるものは全部食べるようにしています。こうしているうちに、主な動物性タンパク質の摂取は釣った魚となりました。
移住当初にはできなかった魚の捌き方もこの一年で少しは上達しましたし、魚を美味しく食べるために釣ってすぐ〆て血抜きするような技術も覚えました。
こうして、新鮮な野菜と新鮮な魚が手元にあると、あとは料理するだけです。メニューに困ったらインターネットで手元の食材を入力してレシピ検索したら、未知の料理にも出会えます。調理方法も魚の捌き方などの調理方法はYoutubeを検索したら大体出てきます。なので、あとはトライするだけなんです。
ということで、都市生活における「食べたい料理を食べるという食生活」から、移住した今は「身近にある新鮮な食材を食べる食生活」と変わりました。
自動車生活で距離感覚が変わる
移住当初は18年のブランクでドキドキしながら運転していた自動車生活ですが、最近ではすっかり馴染んできました。
自動車の運転でいろんなところに行くのですが、大きく変わったのは距離感覚です。
どれだけ変わったかということを具体的に説明するために「10km先」「20km先」「50km先」を例にだして比較してみます。
距離 | 都市生活の感覚 | 田舎暮らしの感覚 |
10km | ちょっと遠いな。 東京駅〜新宿駅の直線距離 | すぐそこ。 近所のスーパーとかに買い物する距離 |
20km | 遠いけれども仕事だったらいける距離 隣の県に行く感じ。通勤電車が苦痛になりはじめる | 近所。 最寄りの駅まで送って行く距離 |
50km | 日常では行かない場所 旅行か出張で移動する | 片道1時間くらい。 用事があれば気軽に移動する距離 |
田舎道は渋滞が少ないどころか、信号さえほとんどありません。なので、制限速度50kmとしてそれを守って運転しても、1時間に50kmとか移動しちゃうのです。いまでは1日に往復100km以上運転することも週に何度かは普通にしています。100kmって都市生活の時なら、新幹線移動のイメージでした。
選択肢がないもの
都市生活から田舎暮らしに移行して、最も違いを感じるのは、選択肢の少なさです。
一応、生活に必要な買い物をするお店は、なんでも一通りあるのですが、選択肢がほとんどありません。なのでいくつかの品揃えの中から選択できないことが多いです。
買い物以外でも、病院・インターネット回線・ホームセンター・工務店・動物病院など、都市生活だといくつかの候補から選択して受けていたサービスも、現実的に通えるところは一つくらいです。もちろん片道1時間以上の長距離を覚悟したら、選択肢も増えるのですが、それはそれで不便です。
基本的に都市生活では、複数のチェーン店や専門店が群雄割拠している状態ですけれども、田舎暮らしではそれはありえません。田舎暮らしにあるのは、田舎をターゲットとしているチェーン店がぽつぽつとある状態です。近所のホームセンターのコメリなどはあえてそういうところに出店していて、まさにその典型です。
田舎にあるサービスと同様のサービスをしている複数の事業者がやっていけるほどの商圏の規模はないというのが大体の事情です。なので、競合他社が入ってくることはあまりありません。競争して取り合うまでの商規模が存在しないというのがその理由です。
なので実用性以外の部分、デザインやコストパフォーマンスなんかを複数の選択肢から選ぶという買い物を求めるなら、遠く市街地まで赴いていろんなお店も視野にいれるか、ネット通販で取り寄せるかの2択となります。
ちなみに、生活圏内に全国規模のチェーン店はほとんどなく、特にファーストフードのマクドナルドやケンタッキーフラインドチキンまで30km、吉野家まで車で1時間半となります。また、車で30分以内にいけるスーパーや道の駅、JAの直売所において、僕の大好きなハーブのパクチーはあつかっていませんでしたので、種を買ってきて自給しています。
買い物するときの豊富な選択肢というのも、都市生活ならではの贅沢なんだということを、田舎暮らしを始めて知りました。
田舎で手に入らないものはAmazonが便利
私の住んでいる島は橋で道路がつながっている島なので、島でありながら離島扱いはされないのがオンラインショッピングでの利点です。
それゆえに、AmazonのPrime会員になっていると、Amazonの倉庫にある商品に関しては配送料がかかりません。
Amazonに関して、都市生活のときは翌日配送とか普通にありましたが、さすがに早いものでも2日、大体は3日以上かかってしまいます。田舎暮らしして慣れてきたら、3〜4日待つのは苦痛にならなくなりましたので、不便はありません。緊急性を要するものでデザインなどを選ばなかったら、選択肢はないものの地元でもなんとかなります。
都市生活の時に感じていたAmazonの利点は、「配送が早いので買いにいくより早く入手できること」でしたが、それが田舎暮らしをしてたら、「近所で入手できない特定の商品を送料を気にせずに送ってもらえる」というのに変わりました。
近所で買えないものを買う時、本当にAmazon便利です。そして、近所のコメリとAmazonの組み合わせが最強です。
その他
最後にその他の生活面で経験した田舎暮らしならでは話を箇条書きにしてみます。
- 橋と道路がつながっている島でもガソリン料金が大きく違います。10円/ℓの差なんてのもザラです。僕は隣の島までガソリン入れにいきます。
- 山間の集落ではその辺一体が法面だらけなのですが、法面に除草剤を撒くと植物の根が死んでしまって法面が崩れてしまいます。そのため、山間の集落は除草剤を使わないです。これは、とても嬉しい誤算でした。
- 自然が豊かな場所に住むということは、虫も沢山いるということです。特に田んぼが近いとムカデが出ます。ムカデは本当に嫌いなのですが、出てきます。虫が嫌いな人が安易に田舎暮らしを想定していると、痛い目にあいますので、それなりの覚悟が必要です。春夏秋の虫対策の費用も5000円/月くらいは使っていました。
- うちの近所では海外製の安い食肉はほとんど売ってません。理由はいくつか考えられるのですが、とにかく食肉といえば、地元も含めた九州産が並んでいます。都市生活のときに安い海外肉の値段になれていた自分は、最初は食肉の値段に違和感がありました。国産肉として比較すると都市生活での値段よりも少し安い値段で買えるのですけれども。
- ホームセンターコメリとコンビニデイリーヤマザキ。天草地方では比較的人口密度の低い場所にも出店してくれているので本当に助かってます。
まとめ
このようにして、都市生活と田舎暮らしを比較して感じたことをまとめてみると、総じて思うことは「実際に住んでみないとわからないことばかりだな」ということです。
僕の場合は、生活習慣や食生活が劇的に良い方向に変わったと感じています。こちらに来て強く思っていることは、「都市生活をあと1年続けていた状態と、田舎暮らしを1年してきた今の状態では、田舎暮らしのほうが身体も心もいい状態にある」ということです。
しかしながら、もう、50歳過ぎているので、いつ人生が終わるかはわからないです。田舎暮らしをして良い状態になったからと言っても、明日、交通事故があるかもわからないし、50年以上やってきた生活の不摂生が原因で身体が長続きしないかもしれません。
ただ、確かに言えることは、都市生活を続けていたよりは、今の田舎暮らしのほうが、いつまで生きれるかわからないけれど残りの人生は面白く生きていけることです。
「いつか、田舎暮らしを」と思い続けて数十年、この1年間にあった様々な出来事や対応してきた変化を振り返ってみても、あと数年都市生活をしていたら、田舎暮らしをはじめるだけのパワーと勢いがでてたかどうかも疑問だなと思います。
思い切って移住してみてよかったです。なんだかんだ面白く生きてます。
以上では、今回の生活編は終わりです。次回は、海編です。
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